語録提唱

語録提唱

信心銘 第十

2019-03-31

極小は大に同じ 境界を忘絶す 極大は小に同じ 辺表(へんぴょう)を見ず 有即ち是れ無 無即ち是れ有 若し是(かく)の如くならずんば 必ず守ることを須(もち)いざれ 一即一切 一切即一 但だ能く是の如くならば 何ぞ不畢(ふひつ)を慮(おもんばか)らん 信心不二 不二信心 言語道断 去来(こらい)今(こん)に非ず   極小は大に同じ 境界を忘絶す 小さな物も分別を離れれば天地と変わらず、大小の境目を忘れ去る。人間の分別によって心が分かれて、この天地が展開する。 横浜はとても分別ゴミにやかましい。燃えるゴミと燃えないゴミ、ビンとカン。分別、どちらも分けるという言葉です。有無を分ける、生死、主客、男女...

信心銘 第九

2019-03-30

虚(こ)明(めい)自から照し 心力を労せず 非思量の処 識情測り難し 真如法界 他無く自無し 急に相応せんと要せば 唯(ただ)不二と言う 不二なれば皆同じ 包容せざる無し 十方の智者 皆此の宗に入る 宗は促(そく)延(えん)に非ず 一念万年 在と不在と無く 十方目前   虚明自から照し 心力を労せず 心というのは、思うことが出来ない、思議できない。その一心が分かれて我々の六つの感覚器官、六根に分かれます。眼耳鼻舌身意。その分かれた六根の働きに任せ切る。下で電話が鳴れば聞くまいとしても聞こえる。目の前のテキストも自然に見えてしまう。私の話の内容を無意識に考えている。これが虚(こ)明(めい)自から...

信心銘 第八

2019-03-30

其の所以を泯(みん)じて 方比すべからず 動を止むるに動無く 止を動ずるに止無し 両既に成らず 一何ぞ爾(しか)ること有らん 究竟(くぎょう)窮極 軌則(きそく)を存せず 心平等に契えば 所作倶(とも)に息む 狐疑(こぎ)浄尽して 正信調(ちょう)直(じき)なり 一切を留めず 記憶す可き無し   其の所以を泯じて 方比すべからず 存在を規定しなければ、定義しなければ、比べる事はない。存在といっても難しい。自分のこと、この体は有るでも無いでもない。これは生きても死んでもいない。生まれてすらいない、消滅もしない。男でも女でもない。すべてのレッテルをはがす。これが分別しないという事。一切の相対性を離...

信心銘 第七

2019-03-29

心を将(も)って心を用う 豈(あに)大錯(たいしゃく)に非ずや 迷えば寂(じゃく)乱(らん)を生じ 悟れば好悪(こうお)無し 一切の二辺 妄りに自から斟酌す 夢幻空華 何ぞ把捉(はそく)を労せん 得失是非 一時に放却せよ 眼若し睡らざれば 諸夢自から除く 心若し異ならざれば 万法一如(いちにょ)なり 一如体玄なれば 兀(こつ)爾(じ)として縁を忘ず 万法斉しく観ずれば 帰復自然なり   心を将って心を用う 豈大錯に非ずや この心が分かれて、世界が展開します。分かれてしまったものを元の一心に還すのが坐禅です。そのために、二つのことを繰り返し提唱しています。一つは分別を握った手を放すこと。自他が分...

信心銘 第六

2018-11-15

繋(け)念(ねん)すれば真に乖(そむ)き 昏沈(こんちん)して不好なり  不好なれば神を労す 何ぞ疎(そ)親(しん)を用いん  一乘に趣かんと欲せば 六塵を悪(にく)むこと勿れ  六塵を悪まざれば 還って正覚に同じ  智者は無為なり 愚人は自縛す 法に異法無し 妄りに自から愛著す   繋念すれば真に乖き 昏沈して不好なり 禅定の方法の一つに繋縁止観というのがあります。丹田に意識を置いて散乱させない。これは初心者に対する一つの方法です。これが繋念です。念を一所に繋ける。しかし三祖はそれでは真実に背くと言っている。初心者には良いが、本来はもっと自由なものです。 それでは気持が沈んでしまい、自由から...

信心銘 第五

2018-11-15

両段を知らんと欲せば 元是れ一空 一空は両に同じ 斉(ひと)しく万象を含む 精粗を見ず 寧(なん)ぞ偏党あらんや 大道は体寛く 難無く易無し 小見は狐疑す 転た急なれば転た遅し 之を執すれば度を失し 必ず邪路に入る 之を放てば自然(じねん)にして 体に去住無し 性に任せて道に合し 逍遙として惱を絶す   両段を知らんと欲せば 元是れ一空 両段というのは、この相対的世界です。善悪、有無、損得、男女、左右。こう分別された、二つに分かれた世界が、相対世界。両段です。 相対的に出来ているこの世界は、本来、空である。空が分かれて、分節されて世界が展開している。   一空は両に同じ 斉しく万象を含む 空は...

信心銘 第四

2018-11-14

二見に住せず 慎しんで追尋すること勿れ 纔(わずか)に是非有れば 紛然として心を失す 二は一に由て有り 一も亦(また)守ること莫れ 一心生ぜざれば 万法咎(とが)無し 咎無ければ法無し 生ぜざれば心ならず 能は境に随って滅し 境は能を逐うて沈す 境は能に由て境たり 能は境に由て能たり   二見に住せず 慎しんで追尋すること勿れ 二見というのは分別された見方です。相対的見方です。善悪、生死、上下、男女。ここは二見の世界です。その相対的な見方をやめる。 一心が分別により分かれてしまう。そうするとこの世界が展開する。その二見の相対世界を離れる。 追いかけたり求めたりする事をやめる。追うも求めるも、す...

信心銘 第三

2018-11-14

多言多慮 転(うた)た相応せず 絶言絶慮 処として通ぜざる無し 根に帰すれば旨を得 照に随えば宗を失す 須臾(しゅゆ)も返照すれば 前空に勝却(しょうきゃく)す 前空の転変は 皆妄見に由る 真を求むることを用いず 唯須らく見を息(や)むべし   多言多慮 転た相応せず 言葉、念慮、概念、判断。そういうものでは、心、悟りには届かない。   絶言絶慮 処として通ぜざる無し 言葉を絶し、概念をやめて、分別を断つ。そうすると真っ直ぐに心のところの行く。   根に帰すれば旨を得 照に随えば宗を失す 心が皆さんの六根として働いている。ただ心というのは、自分を振り返っても見つからない。そこに見えるのは六根だ...

信心銘 第二

2018-10-10

有縁を逐(お)うこと莫れ 空忍に住すること勿(な)かれ 一種平懷(へいかい)なれば、泯(みん)然(ねん)として自から尽く 動を止めて止に帰すれば、止更に弥(いよい)よ動ず 唯だ両辺に滞る 寧(なん)ぞ一種を知らんや 一種通ぜざれば 両処に功を失す 有を遣(や)れば有に沒し 空に随えば空に背く   有縁を逐うこと莫れ 空忍に住すること勿かれ 有縁とは、因縁によって仮にあるように見える存在、これを有と言います。この世界全てがそうです。自分も含めて。これが有です、色のことです。かりそめの存在を追い求めてはいけない。 その色は空であったと気づく。色即是空です。忍とは悟りといった意味でしょうか。しかし空...

信心銘 第一

2018-10-9

三祖僧璨禅師 信心銘 至(し)道(どう)無難(ぶなん) 唯だ揀択(けんじゃく)を嫌う 但(た)だ憎愛莫(な)ければ 洞(とう)然(ねん)として明白なり 毫釐(ごうり)も差有れば 天地懸(はる)かに隔たる 現前を得んと欲せば 順逆を存すること莫かれ 違順相争う 是を心病と為す 玄(げん)旨(し)を識らざれば 徒(いたず)らに念静に労す 円(まどか)なること大虚に同じ 欠くること無く餘ること無し 良(まこと)に取捨に由る 所以(ゆえ)に不如なり   先月まで提唱した伝心法要も、この信心銘も『心』を中心においています。達磨大師がインドから中国へ来たときに、直指人心、見性成仏が旗印だった。まっすぐ心を...