生まれる前に帰る

お知らせ

生まれる前に帰る

2021-09-11

人が亡くなることを仏教では、帰元とか帰空と言います。元へ帰る。空に帰る。

仏教では人の死を帰ることととらえます。どこへ帰るのか。生まれる以前のところへ帰ります。

その世界では、この小さな身体は無くなりますが、代わりに世界すべてになります。

良寛さんの歌にこういうのがあります。

形見とて 何か残さむ

春は花 夏ほととぎす 秋はもみじ葉

死の前に形見を乞われた良寛さんが、自分は死んでいなくなってしまうが、その代わりにこの世界すべてになると答えた歌です。これは、良寛さんだけのことではなく、故人も同じです。

ですから、春に美しい花を見たら故人を思い出してください。夏にきれいな鳥の声を聞いたら、故人を思い出してください。秋に色ずく紅葉を見たら故人を思い出してください。故人はそこにいらっしゃいます。