語録提唱

語録提唱

十牛図 第四

2019-05-9

第四 得牛 この十牛図、悟りを牛に譬えて、それを十枚の絵で説いています。 序 久しく郊外に埋もれて、今日(きょう)渠(かれ)に逢う。境勝(すぐ)れたるに由って以って追い難く、芳叢を恋いて已まず。頑心尚お勇み、野生猶存す。純和(じゅんな)を得んと欲せば、必ず鞭撻を加えよ。 頌 精神を竭尽(けつじん)して渠(かれ)を獲得す 心強く力壮(さか)んにして卒(にわか)に除き難し 有る時は纔(わず)かに高原の上(ほとり)に到り 又煙(えん)雲(うん)深き処に入って居す久しく郊外に埋もれて、今日(きょう)渠(かれ)に逢う。       久しく隠れていた牛に今日出会えた。 前回の見牛のところで、ついに見性しま...

十牛図 第三

2019-04-6

第三 見牛   序 声より得入し、見る処源に逢う。六根門着着(じゃくじゃく)、差(たが)うこと無し。 動(どう)用(ゆう)の中、頭頭(ずず)顕露す。水中の塩味(えんみ)、色裏の膠(こう)青(せい)。 眉毛(びもう)を眨(さつ)上(じょう)すれば、是れ他物(たもつ)に非ず。 頌 黄鸎(こうおう)枝上一声々 日暖かに風和して岸柳青し 只(た)だ是れ更に回避する処無し 森森(しんしん)たる頭角画けども成り難し   声を聞き、色を見て、ついに根源に気づいた。 聞声悟道、見色明心のところです。ついに見性しました。実に嬉しい。先月お話したところでは、まだ理解に留まっていましたが、ついにそこを体得しました。...

十牛図 第二

2019-04-3

第二 見跡           序 経に依(よ)って義を解(げ)し、教えを閲(けみ)して蹤(あと)を知る。衆器(しゅうき)の一金たることを明らめ、万物を体して自己と為す。正邪弁ぜずんば、真偽何ぞ分かたん。 未だ斯(こ)の門に入らざれば、権(か)りに見跡と為す。 頌 水辺林下跡偏(ひと)えに多し   芳草離披(りひ)たり見るや也(ま)たいなや 縦(たと)い是(こ)れ深山の更に深き処なるも 遼天の鼻孔(びくう)怎(なん)んぞ他を蔵(かく)さん 経に依って義を解し、教えを閲して蹤を知る。 経典により教義を理解し、教えを学び牛の足跡を見つけた。   この絵は、悟りを牛に譬えている。ここは頭で理解したと...

十牛図 第一

2019-04-2

第一 尋牛 序 従来(じゅうらい)失せず、何ぞ追尋(ついじん)を用いん。背覚(はいかく)に由って以て疎(そ)と成り、向塵(こうじん)に在って遂に失す。家山漸(ようや)く遠く、岐路(きろ)俄(にわ)かに差(たが)う。得失熾然(しねん)として、是非鋒起す。 頌 茫茫(ぼうぼう)として草を撥(はら)い去って追尋す 水闊(ひろ)く山遥かにして路(みち)更に深し 力尽き神(しん)疲れて覓(もと)むるに処無し 但(た)だ聞く楓樹(ふうじゅ)に晩(ばん)蝉(せん)の吟ずることを   この牛というのは、悟りの象徴です。ある牛飼いを主人公にして、その牛飼いが悟りを深めてゆく段階を、十枚の絵で表わしています。それ...

信心銘 第十

2019-03-31

極小は大に同じ 境界を忘絶す 極大は小に同じ 辺表(へんぴょう)を見ず 有即ち是れ無 無即ち是れ有 若し是(かく)の如くならずんば 必ず守ることを須(もち)いざれ 一即一切 一切即一 但だ能く是の如くならば 何ぞ不畢(ふひつ)を慮(おもんばか)らん 信心不二 不二信心 言語道断 去来(こらい)今(こん)に非ず   極小は大に同じ 境界を忘絶す 小さな物も分別を離れれば天地と変わらず、大小の境目を忘れ去る。人間の分別によって心が分かれて、この天地が展開する。 横浜はとても分別ゴミにやかましい。燃えるゴミと燃えないゴミ、ビンとカン。分別、どちらも分けるという言葉です。有無を分ける、生死、主客、男女...

信心銘 第九

2019-03-30

虚(こ)明(めい)自から照し 心力を労せず 非思量の処 識情測り難し 真如法界 他無く自無し 急に相応せんと要せば 唯(ただ)不二と言う 不二なれば皆同じ 包容せざる無し 十方の智者 皆此の宗に入る 宗は促(そく)延(えん)に非ず 一念万年 在と不在と無く 十方目前   虚明自から照し 心力を労せず 心というのは、思うことが出来ない、思議できない。その一心が分かれて我々の六つの感覚器官、六根に分かれます。眼耳鼻舌身意。その分かれた六根の働きに任せ切る。下で電話が鳴れば聞くまいとしても聞こえる。目の前のテキストも自然に見えてしまう。私の話の内容を無意識に考えている。これが虚(こ)明(めい)自から...

信心銘 第八

2019-03-30

其の所以を泯(みん)じて 方比すべからず 動を止むるに動無く 止を動ずるに止無し 両既に成らず 一何ぞ爾(しか)ること有らん 究竟(くぎょう)窮極 軌則(きそく)を存せず 心平等に契えば 所作倶(とも)に息む 狐疑(こぎ)浄尽して 正信調(ちょう)直(じき)なり 一切を留めず 記憶す可き無し   其の所以を泯じて 方比すべからず 存在を規定しなければ、定義しなければ、比べる事はない。存在といっても難しい。自分のこと、この体は有るでも無いでもない。これは生きても死んでもいない。生まれてすらいない、消滅もしない。男でも女でもない。すべてのレッテルをはがす。これが分別しないという事。一切の相対性を離...

信心銘 第七

2019-03-29

心を将(も)って心を用う 豈(あに)大錯(たいしゃく)に非ずや 迷えば寂(じゃく)乱(らん)を生じ 悟れば好悪(こうお)無し 一切の二辺 妄りに自から斟酌す 夢幻空華 何ぞ把捉(はそく)を労せん 得失是非 一時に放却せよ 眼若し睡らざれば 諸夢自から除く 心若し異ならざれば 万法一如(いちにょ)なり 一如体玄なれば 兀(こつ)爾(じ)として縁を忘ず 万法斉しく観ずれば 帰復自然なり   心を将って心を用う 豈大錯に非ずや この心が分かれて、世界が展開します。分かれてしまったものを元の一心に還すのが坐禅です。そのために、二つのことを繰り返し提唱しています。一つは分別を握った手を放すこと。自他が分...

信心銘 第六

2018-11-15

繋(け)念(ねん)すれば真に乖(そむ)き 昏沈(こんちん)して不好なり  不好なれば神を労す 何ぞ疎(そ)親(しん)を用いん  一乘に趣かんと欲せば 六塵を悪(にく)むこと勿れ  六塵を悪まざれば 還って正覚に同じ  智者は無為なり 愚人は自縛す 法に異法無し 妄りに自から愛著す   繋念すれば真に乖き 昏沈して不好なり 禅定の方法の一つに繋縁止観というのがあります。丹田に意識を置いて散乱させない。これは初心者に対する一つの方法です。これが繋念です。念を一所に繋ける。しかし三祖はそれでは真実に背くと言っている。初心者には良いが、本来はもっと自由なものです。 それでは気持が沈んでしまい、自由から...

信心銘 第五

2018-11-15

両段を知らんと欲せば 元是れ一空 一空は両に同じ 斉(ひと)しく万象を含む 精粗を見ず 寧(なん)ぞ偏党あらんや 大道は体寛く 難無く易無し 小見は狐疑す 転た急なれば転た遅し 之を執すれば度を失し 必ず邪路に入る 之を放てば自然(じねん)にして 体に去住無し 性に任せて道に合し 逍遙として惱を絶す   両段を知らんと欲せば 元是れ一空 両段というのは、この相対的世界です。善悪、有無、損得、男女、左右。こう分別された、二つに分かれた世界が、相対世界。両段です。 相対的に出来ているこの世界は、本来、空である。空が分かれて、分節されて世界が展開している。   一空は両に同じ 斉しく万象を含む 空は...